主な研究内容

・音が重心動揺(ふらつき)軽減に及ぼす効果に関する研究

・生体信号(脳波など)の計測および解析

・脳外科治療への応用を目指した掌サイズの凍結プローブの開発と有効性の検証

・設計性に優れたCentral pattern generatorの提案と脚式ロボットへの応用


音刺激が重心動揺軽減に及ぼす効果に関する研究開発

    高齢者に顕著である「めまい」「ふらつき」を軽減させる新たなリハビリテーション手法を提案することを目指し,重心動揺軌跡や脳活動計測を通して,音が立位姿勢制御に及ぼす効果を検証しています.

    立位姿勢制御の処理の流れ

    音が立位姿勢制御(重心動揺)向上に及ぼす効果を調査する実験環境の一例

熟練者の巧みさを明らかにする研究開発

    一般に,熟練者は一つの動作を行う際に効率的に筋を制御していると考えられています.この研究では,無線筋電計を用いて空手道の正拳突きをした際の小指外転筋の筋電図を計測しました.下に示す結果はその一例です.左図が未経験者,右図が経験者の筋電図です.経験者の筋電図の方が,1)電位のピーク値が高く,2)電位のピークまでに要する時間が短く,3)目標位置到達後に筋電図が消失している(目的の動作をした後で脱力している)ことが分かります.

新規な外科治療器具の開発

    薬物治療が難しい「難治性てんかん患者」に対する1つの治療法として,てんかんの発生源(病巣,原性域)を切り取る脳外科手術(切除術)が有効とされています.切除術を行う際,病巣が深部にある場合,術中に健常部位を傷付ける恐れがあります.そこで,低侵襲に深部の領域を壊死させることがきる凍結プローブという機器を新たに開発し動物実験にて有効性を検証しています.「てんかん外科手術として凍結治療」は未だ行われていないので,ハードルが高い研究ですが,新たなてんかん外科治療法の確立を目指し,日々研究を続けています.(IEEE Trans. Biomedical Eng.の Feature Aarticleで研究内容が取り上げられました)

    提案凍結プローブの有効性の検証を行うための研究概要 

    提案凍結プローブの概略図(左上),凍結性能(右上)

    熱電対機能をを構造的に内蔵した凍結プローブとその性能評価

    T. Tokiwa, et al., IEEE Trans. on Biomedical Eng., 2015.
    T. Tokiwa, et al., IEEE Trans. on Biomedical Eng., 2019.

脳波(てんかん波)の解析

  • みなさんが大学の講義で学んだ時間周波数解析などの手法を駆使して,脳波(てんかん波)の解析をしています.この研究を通して,「てんかん」の予知や先に挙げた「凍結治療」の術中評価を目指しています.
  • ラット脳の薬物誘発てんかんモデルに対して,凍結治療を行った場合,凍結後にてんかんが再発(凍結失敗)する場合とてんかんが消失(凍結成功)する場合がありました.本研究では,術後の状態を凍結中脳波によって予測することを検討しました.結果として,てんかん再発・消失には,凍結中脳波のδ波成分に違いが見受けられました.この成分をモニタリングすることで,凍結が成功しているか失敗しているかを術中に判断できる可能性が示唆されました.

設計性に優れたCentral pattern generatorの設計

    ヒトの歩行や鳥の飛翔など,一定のリズム運動には脊髄に存在すると考えられている中枢パターン発生器(central pattern generator:CPG)が関与していると考えられています.本研究では,従来モデルよりも設計性・制御性にすぐれたCPGを提案し自作した脚式ロボットにてその有効性を検証しました.


    脚式ロボットの設計製作(Yamac-H, Yamac-Q)
    yamac-H.jpg
    Yamac-H

    T. Tokiwa, et al., Journal of Signal Processing., 2008.
    JSTの支援を受けPCT出願(国際特許)出願番号PCT/JP2009/053040